このレポートでは、製作した池用ろ過装置の設計部分である、
- 水質悪化の原因とろ過の目的
- 生物ろ過の仕組み
- 生物ろ過に適したろ材
- ドライろ過のメリット
についてまとめました。このドライろ過方式で2年ほど運用してきましたが、
半年に一回程度のメンテナンスでクリアな水の池をキープできていますので、
やはりドライろ過の効果は抜群です。
ポット池の異変
コストコのポット池に金魚を入れて、1か月ほどたったころ、
池に異変が!
水がとんでもなく白く濁ってるではないですか。。
ポット池を作ったのがちょうど夏始まりの6月末だったこともあり、
水温が高いのと、金魚の水汚し力の相乗効果で水質がだいぶ悪化してしまったようです。
水替えを2週に1回程度してしのごうと思いましたが、
8月になると群馬の灼熱にさらされた池の水質汚濁速度はさらに上がり、
ついには金魚が鼻上げするようになってしまいました。
この時、しっかりした池を作ってろ過装置を作ろう!と決意したのですが、
まずは金魚を救うべく、助手1こと、すまるが提案したドライろ過装置を作ることになったのです。
水質悪化原因とろ過の目的
一般的にろ過と言えば、ごみや不純物を濾す作業を思い浮かべると思いますが、
今回は水質悪化を引き起こしている原因物質を除去することがろ過の目的です。
そもそも水質悪化とはどういった状況なのでしょうか…?
一般的には以下のようなことが水質悪化の原因になるといわれています。
- 魚の排泄物
- 餌のやりすぎによる食べ残し
- 落ち葉や虫の死骸
これらの排泄物や食べ残し等のタンパク質が腐敗すると、
魚にとって非常に有害なアンモニアが発生します。
アンモニアの生体への影響について
理科の実験でよく登場するあのとんでもないにおい!のやつですね。
このアンモニア濃度が高くなった状態が一般的に水質悪化と呼ばれる状態です。
(後述の亜硝酸も原因となるケースがありますが、ほとんどはアンモニア起因のようです)
今回のポット池の場合は地面とフラットで虫も入り放題、
こどもたちによる餌の大量投下もあり、
申し訳程度に太陽光ポンプで水は回していたものの
水温もかなり高い状態。。
もう数え役満状態でアンモニアが発生するのに十分すぎる条件がそろっていたかもしれません。。
金魚を救うには、この発生させてしまったアンモニアを
ろ過によりしっかりと除去する必要があります。
水質浄化(生物ろ過)の立役者
アンモニアは水中では一部がイオン化し、アンモニウムイオンとなって存在するのですが、
自然界にはこれを食べて分解してくれる硝化バクテリアというとても良いやつがいて、
池の中に勝手に入ってきた彼らは
アンモニア(有害)→亜硝酸(これも有害)→硝酸塩(無害)へと
次々と分解していってくれます。
なんていいやつなんだ!ありがとう!
とお礼をいいたいところですが、このポット池を見てもらえばわかるように、
彼らに快適な住処を与えなければその素晴らしい働きを見せてはくれないのです。。
硝化バクテリアの住処
彼らのお気に入りの住処は、表面積の大きいろ材です。
単純にひっつく場所がたくさんあるからですね。
ろ材といっても、彼らにアンモニア入りの水を届けて、
それを分解してもらうのが目的なので、フィルター状になっている必要はありません。
生物ろ過のろ材に求められる性能は、
- 水質に影響を与えない(フィルタで汚したら本末転倒)
- 水が流れやすい(詰まったら意味がない)
- 表面積が大きい(前述の通り)
- 重量が軽い(重いと取り扱いが大変)
の4つです。
これらの条件を満たしそうなものを探してみたところ、
- リングろ材
- バイオボール等の樹脂製充填剤
が一般的にろ材として使われていることがわかりました。
リングろ材
セラミックをリング状に焼き固めたもので多孔質。アクアリウムでよく使われているものです。
リング状になっているので、水の流れを止めてしまうこともありません。
ただ、なかなかお高いんです。。
池のろ過装置にはそこそこの量が必要なので、価格が見合わず見送りました。
バイオボール等の樹脂製充填剤
樹脂をフラーレン状に成型したものです(ウニみたいな形のもあります)
スクラバーの充填剤にそっくりです(って通じないですね)
こちらは価格的にもなかなかよさそうですが、今回計画していたろ過装置には一粒が大きすぎて、
見送ることに。
大型のろ過装置を作る場合には最適解だと思います。
ダークホース:軽石
ということで、さらに調査を重ねたところ条件に合うものを発見!
それは園芸用の軽石!?個人的にはかなり意外だったのですが、
確かに条件はすべて満たしています。
- 名前の通り、軽い
- 多孔質(表面積が大きい)
- 水質に影響しない(セラミック)
- 水をせき止めない(形がいびつ)
- そしてとんでもなく安い(200円~)
あまり細かい粒だと詰まってしまうので、中粒を選択しました。
コスパ最高の住処が見つかって大満足です。彼らもきっと喜んでくれることでしょう。
※園芸用の軽石はかなり汚いのでしっかり洗ってから使うことをお勧めします。
ろ過方式
ろ材は軽石を採用することに決定しましたが、
生物ろ過にはウェット、ドライの2種類の方式があります。
ウェットろ過
アクアリウムでよく使用されている、ろ材が完全に水没している形での生物ろ過です。
いわゆる外部フィルターのような形で、密閉型で運用できることがメリットですが、
後述のドライ式に比べてどうしても酸素の供給量が少ないのがデメリットです。
硝化バクテリアのアンモニア分解フロー(硝化作用)は、
アンモニウムイオン(NH4+)→亜硝酸イオン(NO2-)→硝酸イオン(NO3-)
となり、見たままですがこの反応には多くの酸素(O2)が必要となります。
生物ろ過の効率から考えると、酸素を十分に供給できるドライろ過に軍配があがるというわけです。
ドライろ過
ろ材にシャワーのようにアンモニア入りの水を振りかけて行う生物ろ過となります。
これを大気開放された状態で行うため、酸素は十分に供給され、
バクテリアの硝化作用も活発化します。(ウェットろ過に比べ数倍の能力があるといわれています)
デメリットは、開放系なので室内のアクアリウムでは水浸しリスクが常につきまといます。。
ただ、今回は屋外なのでこの心配はほとんどありません。
強力なろ過能力のメリットだけを享受できることになります。
期待が高まりますね!
生物ろ過まとめ
- 水質悪化原因はタンパク質源の腐敗により発生するアンモニア
- アンモニアを分解してくれるのは硝化バクテリアの働き
- 硝化バクテリアのお気に入りの住処は表面積の大きなろ材
- 条件を満たすコスパ抜群のろ材は軽石
- ドライろ過は酸素を十分に供給できるため、ろ過能力が非常に高い
ということがわかりました。この設計を実際にどういった形の
ろ過フィルターにしていったのかを次回のレポートで報告したいと思います。
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